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2018年2月20日 / 文筆家・時計ジャーナリスト 白州太朗
ストラップオーダーサービスの魅力

このほど、ミッシェル・エルブランがレザーストラップのオーダーサービスを開始する。インスピレーション1947コレクションが対象で、ジャン・ルソー製のクロコダイルストラップを全15色から選ぶことができるという。しかも、通常モデルにプラス3万円するだけで購入できるというからお得である。
(ジャン・ルソーは高級レザーストラップの代名詞とも言えるメーカーで、単体でオーダーすれば5万円程度になるのが普通だ)

“ストラップの裏面はラバー貼り。多湿の日本でも快適に使える仕様だ”

腕時計は、大体のモノはブランド側が定めたストラップとの組み合わせで買うしかない。そのせいか、ストラップを自分で選んだり、後からわざわざ交換用に買い足したりするといったことがまだまだ浸透していないように思う。ところが、実は時計のイメージは、腕に分かれる面積がより多いストラップに左右されるところがある。汗をたくさん吸い込んで劣化したようなストラップをそのままにしておくのは論外だが、吊るしのストラップをそのままつけっぱなしにしておくのも芸がないと思う。一流の美容師は眉毛を2、3本抜くだけでその人の印象を変えるというが、時計もまたストラップを少し変えるだけでガラリと時計のイメージを変化させ、急に着け手の個性を主張しだすのだ。

すべて21万8000円+税(ジャン・ルソー ストラップ代別途)
SPEC SSケース、サイズ直径40mm、レザーストラップ、 手巻き、3気圧防水、シースルー

インスピレーション1947の文字盤色は、白、青、グレーの3色である。調和をとりつつシャレ感を出したいならネイビーやグレーのカラーを選択すれば間違いないだろう。ビビッドな色ならば個性的で際立つが、白や明るいブルーは夏時期の方が相性が良いし、赤色などはそれでOKという仕事をされているならばぜひチャレンジしたいカラーでもある。
しかしながら、もしあなたが腕時計を購入するのが初めてに近いならば、迷わず黒色のストラップをオススメする。実は筆者も、もし買うならばこのカラーがイチオシだ。今回のラインナップにある黒は、ややスミっぽくグラデーションがかかっており、程よくヤレたような雰囲気を出している。ヴィンテージ加工されたジーンズのように、新品でありながらこなれている、つまり自分で使い込んだような風合いがあるのだ。もちろん黒色だから、端正さは損なわれずビジネスシーンでは最も使いやすいだろう。

またとないオリジナルストラップを手に入れられる機会、ぜひ試してみればいかがだろう? ストラップの横幅が合えば、実は手持ちの他の時計にも装着可能である、ということを最後にコッソリ付け加えておく。

プロフィール

白州太朗
文筆家。時計ジャーナリスト。腕時計専門誌の編集者出身で、バーゼルワールドやSIHHをはじめ、スイス、フランス、ドイツ、イタリアといった高級腕時計の故郷で取材を重ねる。腕時計とシャツ、アクセサリーとの合わせを追求する袖元研究家でもある。好物はしらす丼。