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2017年11月27日 / 文筆家・時計ジャーナリスト 白州太朗
ホワイトやボーダーニットと合わせるなら 実は冬こそ都会派マリンの腕時計を
  冬の大定番アイテムであるニットは誰もが一度は袖を通すほどに我々の間に浸透している。定番カラーは黒、ネイビー、グレーといったあたりだがこのところはメンズでもボーダーや白、今季ならばオリーブ(私とすれば、完全にカーキ色にしか見えないが、、)など、ずいぶんバリエーションに広がりがある。英国ニットの雄、ジョン・スメドレーやフランスブランドのルトロワ、イタリアのアルテアなんかも傾向を同じにしているようだ。
   今年ニットを買い足すにあたり、このトレンドにピンとくるようなシャレた方々にはぜひ袖元の主張も意識してみてほしい。これからの時期、毎日ビジネスで使用しているステンレスブレスの時計をそのまま着けるのは野暮という他ないからだ。よほどでない限り、ニットとは合わずにミスマッチである。
  たとえば白×青のボーダーに合わせるなら、時計の文字盤色も合わせてみる。時計バンドの色も合わせればなお良い。筆者としては、以下のニューポート クロノ オートマティックをお薦めする。
ニューポート クロノ オートマティック
Ref.255/RB42 298,000円(税抜)
SPEC SSケース、サイズ直径43.5mm、厚さ14.4mm 自動巻き、10気圧防水、シースルーバック



   さて、今回はこの時計を軸に冬のマリンルックとシャレこんでみることを提案する。え、マリンルックといえば夏と相場が決まっている、というのはやや早計だ。このファッションの出自は海兵や漁師など海の男たちの服装なのであり、ボーダーシャツだけのことを指すわけではない。彼らは夏だけひょっこりと現れるのでなく、当然、年中海に出ていた。トグルのついたダッフルコートや編み目の大きなアランニットなど、マリンがルーツの冬用アイテムは実は豊富なのだ。ホワイトやボーダーを用いたモノもその範疇といえる。ただし、そのまま着るだけではコスプレのように野暮ったくなりかねないので、1、2点のアイテムをセレクトしつつ小物で都会感をプラスするとよい。
   ベゼルやインダイアルがブルーグレーの絶妙なニュアンスを持つニューポートはうってつけの一本なのだ。暗めの着こなしになりがちなこの時期、ひときわ精悍なイメージも作れるだろう。
  最後に、間違いのない時計選びをするためのポイントをお伝えする。色の次に気にすべきは厚みだ。日常用だからと夏に着ける時計と同じ感覚で分厚いものを選んでは、袖口がこんもりとしたり、基本的にボリュームがでかちなニットをさらにもっさりとさせたりしかねない。せいぜい14mmくらいまでの厚さの時計を選ぶとよいだろう。
   このニューポートは厚さ14.4mmとスペック上はまずまずといったところで、着けてみると嬉しい誤算もある。時計のバンドを固定するラグのパーツがケース上下から伸びるようにして配置されているため、一般的な形状に比べてバンドが手首に沿いやすいのだ。その厚み以上にピッタリとした装着感が得られ、冬の袖口にもスマートに決まる。夏場は気を遣うレザーバンドも、傷みを気にせず毎日着けられる利点もあるというわけだ。冬にこそ試せる都会的なマリンルック、ニューポートで始めてみるのはいかがだろう?
プロフィール

白州太朗
文筆家。時計ジャーナリスト。腕時計専門誌の編集者出身で、バーゼルワールドやSIHHをはじめ、スイス、フランス、ドイツ、イタリアといった高級腕時計の故郷で取材を重ねる。腕時計とシャツ、アクセサリーとの合わせを追求する袖元研究家でもある。好物はしらす丼。