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2018年5月22日 / 文筆家・時計ジャーナリスト 白州太朗
好きなテイストに合わせてセレクトの幅が広がったニューポートファミリー

前回、ニューポート オートマティックから30周年記念のモダンなモデルが発表されたと書いた。今回はその先の広がりとして、通常モデルで展開されるニューポート”ファミリー”をご紹介したい。

ナイトシーンにも似合う薄型のブレスモデル”ニューポート・ロワイヤル”というクォーツ式の新コレクションは、2000年代に展開されていたものをリファインしたそうで、最大の特徴はひとつひとつが非常に長いブレスのコマである。スポーティになりがちなブレスレットモデルにあって、上品な印象に仕上げられており都会的な雰囲気を漂わせる。このブレスレットはことのほか使いやすく、手首に沿うようにフィットしてくれるため長時間使っても重さを感じなさそうだ。ダイアルデザインはほのかにニューポートが香るといった感じで、ブランドとしてのデザインの幅を感じさせてくれる。

“ケース径は39mm。小ぶりかつ薄型のため、ジャケットの袖口でも邪魔にならない実用的なサイズだ”

話は戻って、ミッシェル・エルブランの旗艦コレクションであるニューポート オートマティックだが、今回はあえて搭載する機械に触れてみたい。クロノグラフ、3針とも新しいムーブになっており、クロノグラフモデルはこれまでのETAでなくセリタ社が同社向けに世界で初めてローンチしたという横3つ目の配列のものだ。3針の方は信頼性の高いETA2824を用いた。双方汎用ムーブとして申し分ないが、質の良いものを量産する必要があるミッシェル・エルブランにとって、どちらとも取引している点に会社としての安定感や底力を感じる。ETAがムーブメントの供給をストップすると発表して久しいが(結果、そうはなっていない)決して1社に依存せず、自分たちに必要なサプライヤーと対等に付き合う姿勢にはさすが70年超の歴史を持つ時計ブランドの矜持を見た。

“横3つ目のダイアル配列はロレックス・デイトナなどと同様。クロノは43mm、3針は41.5mmのケース径だ”

 コレクション30周年を機にその魅力をさらに拡大し、多くのシーンに対応可能となったニューポート”ファミリー”。自分が使う頻度が最も多い場面のために、買って損はないだろう。

プロフィール

白州太朗
文筆家。時計ジャーナリスト。腕時計専門誌の編集者出身で、バーゼルワールドやSIHHをはじめ、スイス、フランス、ドイツ、イタリアといった高級腕時計の故郷で取材を重ねる。腕時計とシャツ、アクセサリーとの合わせを追求する袖元研究家でもある。好物はしらす丼。